OIL Pressure 油圧

今日は油圧について。
ハーレーを好きな方、または乗り物好きな方にとって、エンジンはこだわりのポイントです。
何でもいいよ。
という方は、いませんよね。
その大事なエンジンですが、さまざまな部品から構成されております。
ピストンやコンロッド、バルブなどなど、皆様よくご存知名ものから、聞いたことも無いようなものまで・・・。
潤滑のためにOILがありますが、それを各部に送るオイル・ポンプというものがあります。
エンジン本体が人間の体全体だとしたら、オイルポンプは心臓に当たります。
血液にあたる、オイルを送るのです。
(わかり易さのために、あえてヒトにたとえて話していきます。)
血圧にあたるものが、油圧(オイル・プレッシャー)になります。
ライン内の詰まりなどがありますと、油圧が高くなります。
高血圧は良くないですよね。
ポンプボディーや、各部のクリアランス(隙間)が拡がると、そこから圧が逃げ油圧の低下となります。
こちらも非常に深刻な結果を招きます。
単純にオイルが各部に行かなくなりますので、焼きつきやオーバーヒートを起こします。
低血圧も良くないですね。
ヒトと違って、エンジンは温度が上がっていきます。
オイルの特性として、低い温度のときに粘度が高く(硬い)、高い温度のときに粘度が低く(やわらかい)なります。
基本的な特性です。
鉱物油ですと、この幅が非常に広がります。
化学合成油ですと、この幅が非常に狭くなります。
化学合成油の性能が高いのです。
ドロドロ血液と、さらさら血液のお話のような感じでしょうか・・・。
ということで、エンジンの修理前に試乗と計測をし、現状をデータ取りします。
ヘッドの温度を測り、完全暖気をします。
合否判定は、完全暖気後、
@2000rpm 12~25psi
となっております。
では、いってみましょう。
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最初のほうで、すでに油圧が低い印象。
その後暖気を続けていくと、どんどん下がっていき、5 psi @2000rpmといったところです。
合否判定は、否。となります。
メカノイズから、推測していたとうりの結果です。
エキゾーストからの白煙もあります。
では、一気に分解。すたーと。
オイルを抜いたところで、異変に気がつきました・・・。
スラッジがすごい・・・。
タンク内をすくってみると・・・、ヘドロのように堆積しています。
・・・。
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どんどん分解していきます。
フレームからエンジン本体をオフ。
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オイルポンプまわりを。
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フィード(送り)。
スカベンジャー(戻り)。
ともに、めちゃめちゃです。
スラッジを巻き込んで。ボディはズタズタです。
これでも、走るんです。
しかし、エンジンの音や、発熱、出力などに耳を傾けなければ、破壊します。
故障ではないです。 
破壊です。
このまま乗っていると、バルブやピストンの完全な焼きつきを起こします。
そうなると、シリンダーやエンジンケース、シリンダーヘッドなどが割れるなどの重大なトラブルを起こします。
駄目な部品を交換する。
それだけでは直りません。
なぜそうなったのか。原因まで理解すること。
それがわからない限り、同じことがおきます。
日本の夏は目前です。
東京で、空冷エンジンのハーレーを乗ることはとても過酷です。(渋滞や、信号の多さで冷えない為)
いいオイルと、適切な油圧確保、空冷エンジンの扱いにて、
あなたの愛車を守ってください。
ご相談はお気軽に。
すばらしい休日のために。