今日はハーレーの伝統について。
ハーレーのエンジンと言えばOHV(オーバーヘッドバルブ)を連想しますがいかがでしょうか。
1936年のknuckle headから現代まで継承される機構です。
サイドバルブSVより高い出力を得られるハイスペックなものという位置ずけです。そのむかしはサイドバルブエンジンを、OHVにするチューニングというものもありOHVという事が高性能の代名詞だったのです。
OHVのメカニズムは、バルブが上にあるということなのですが、もう少し説明をすると
4サイクルエンジンなのでクランクが2回転すると、全ての気筒の燃焼が終わります。
クランクにつながるピニオンギア、それにかみあうカムギアそこでギア比によって2対1に減速されます。クランクが2回転してもカムギアは1回転しかしない訳です。
カムギアの同軸上にカム山、カムローブがあります。
それをタペットローラーでリフトをもらいます。ここで上下の運動に切り替わります。
プッシュロッドと呼ばれるもので上下の運動、カムリフトをシリンダヘッド上に伝えます。このプッシュロッドがOHVの特徴でもあります。プッシュロッドの長さや、タペット側の調整部の長さを変える事を一般的にタペット調整といいます。
プッシュロッドの動きをロッカーアームで受け取ります。
ロッカーアームにはレバー比、ロッカーレシオがありナックルヘッドは1対1、のレバー比無しパンヘッド。ショベルヘッド、エボは、1対1.62、1.4などエンジンによってロッカーレシオが異なります。
ロッカーレシオで増やされたトラベル(移動量)は、バルブに伝えられます。(バルブリフト)
ここまでがOHVの一連のメカニズムです。
SOHC,DOHCに比べればバルブを動かす機構が多く複雑なので、高回転に向かないというデメリットがあります。
私どもが愛するハーレーといえば、75年間もOHVという機構を継承してきたのです。
いろいろなものが消費されていく現代ですが、おおらかな国の伝統的な部分に学ぶ事が多くあるように思います。
オーバーサイズベアリングなどを使って修理していく考え方がハーレーにはあり、修理リペアして長く使っていくことが前提にある事がわかります。
単気筒を2気筒にアレンジしたといわれるエンジンレイアウトもよい例でしょう。
世界中の排出ガス規制や騒音規制など、厳しくなる一方ですが、ハーレーは空冷OHVを守っているのです。
先人たちのあくなき技術に対する探求心と、伝統を継承しているところに深く感銘しのちの方たちに伝えるべき事とおもっています。
古い時代のものの良さや伝統を理解し、現代の技術で当時のエンジニアが夢見たであろう性能や品質を達成できたら、素敵な事だとおもいます。